普通の人の投資の王道 虎の巻23 実践③ 本質投資 中長期の値動き
さて、どんどんとマニアックな方向に行っている本質投資ですが、今回が最終回。 最後が一番、しっくりくる(わかりやすい)と思います。
復習ですが本質投資とは「本質的に優れたモノ」に投資するスタイルで3つの指標で測ります。
①ビジネスモデルとその持続性
②ファンダメンタルズ
③中長期の値動き →今日はここ
ビジネスモデルやファンだメンタルズは、ビジネスモデルの理解、競争環境、財務分析、経済状況などマーケティング/ファイナンス/経済の素養が必要で、時間がかかるものでした。今日はもっとストレートです。
中長期の値動き
バリュー投資で割安/割高をどうやって判断するかというお話をしました。バリュー投資の指標は直近の価格やパフォーマンスで割安/割高を判断します。
で、普通の人の投資では、もっと足の長い投資をするので巨視的な視点で「価格」を見ようというのが今回の「中長期の値動き」の趣旨です。
投資をやり始めると日々の価格が気になって、上がった下がったで一喜一憂します。でも、そのUp/Downはもっと時間軸を引いてみると、大きなトレンドの中での小さな波であることがよくわかります。
具体的にS&P500の2020年7月を起点とした過去の値動きです。
S&P500過去1か月
前半に一山ありますが、おおむね上がっているように見えます。
S&P500過去1年
コロナショックの深い谷があるものの、その後回復して20年7月時点ではほぼ19年末以上のレベルに戻っています。
S&P500過去5年
16年からコロナショックまでほぼ右肩上がりです。
過去15年
リーマンショックの谷の後で一貫して価格が上がっていることがよくわかります。コロナショック後の価格も、実はリーマンショックのころの価格に比べればはるかに高いレベルであることがよくわかります。
S&P500過去90年
すごいスケールで成長しているのがよくわかります。また、コロナの谷なんて過去の変動に比べると大したことない(というか、もう見えないぐらいの小さな波である)事がよくわかります。
という事で、時間軸をどんどん長くすればするほどトレンドがクリアーになります。また、それぞれの事象での影響度(Up/Downの波の大きさ)がよりはっきりとします。
巨視的な視点をどう使うか?
長いスパンで見れば見るほど、本質的な価値がよくわかります。上記の例ですとアメリカとアメリカ企業がいかに第1大戦後1920年から現在に至るまで成長を続けて、世界で最も大きくなった経済であることが分かります。
ここからいえることは、アメリカとアメリカ企業は成長し続けてきた国の一つであり、「本質的に優れている」とある程度判断できます。
アメリカびいきでないか、といわれそうなので、我らが日経225と比較すると一目両全です。
日経225の過去60年(それ以前が比較可能な形ではYahoo finanaceになし)
高い頂のある1989年のバブルから日本は成長していません。株価が上がっていないだけなのですが、日本経済と日本企業の成長(とその期待)がもろに株価に現れているのです。で、今やっと失われた30年の時を経て、バブルという山の裾野へ到着しています。ここから日本が再び成長できるのか、今、日本の真価(本質的な価値)が問われています。
最後にアジアの奇跡シンガポールSTIです、
略30年のSTI値動き
実はシンガポールも岐路に立っています。1980年代からの高成長が終わり、リーマンショックの後は、中/低成長の経済構造へとシフトしております。STIがきれいにそれを表しています。それが2010年から2020年の10年でSTIが大きくは伸びていないことから分かります。
株価が経済のすべてを反映しているとは思いませんが、巨視的に見た時にマーケットは効率的に動いていて「儲かるところ」「成長していることろ」にお金が集まるようになっています。5年、10年、15年、20年ぐらいを振りかえってその国/企業が成長しているのか、その途中か、それとも止まったのか、下がり基調なのかを見極めると、「本質的に価値のあるモノ」自然と見えてきます。
インデックス投資でも、個別投資でも必ず投資前に「5年、10年、15年、20年」を振りかえってみてください。振り返る際は必ず「谷;危機時」をスコープに入れてみてください。リーマンショックの後2010年からだけで10年を振り返ると概ねどこも成長しているように見えますが、リーマンショックを入れてみると、波の大小やトレンドがよりよく見えてきます。
ということで、中長期の値動きを必ずチェックしてください。簡単にYahoo finanaceやロイターのサイトで見れますので! では、次回は「本質投資のまとめ」です
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