普通の人の投資と読書@シンガポール

普通の人(@シンガポール)が投資と読書を気ままに綴る

読書 35歳の教科書

和田中学校の校長を務めた藤原和博さんの人生戦略を書いた一冊です。35歳で区切っているのですが、何歳で読んでもためになる本だと思います。久々に読書感想文を徒然なるままに書き進んでいきたいと思います。

 

まず初めに、結論というか、この本の言いたいことは、すごくシンプルで「みんなが豊かになれる日本の成長社会は終わったよ、これからは個の力で生きていってください」です。

 

藤原さんの他の著書も複数読んでいますが、主張は基本的に一貫していて(逆に言うと、どの本でも同じことを言っていて)、下記の対比やキーワードから「多様で変化が早いこれからの時代において、自分の頭で考えて、ネットワークを築いて、ひとりひとり独立して豊かな人生を歩んでください」と訴えています。

  • 「成長社会→成熟社会」
  • 「みんな→ひとりひとり」
  • 「正解→納得解」
  • 「モノ(物質)→ココロ(精神)の豊かさ」
  • 「安定/固定→多様化/変化」
  • 「会社→個人」
  • 「キラカードになれ!(自分だけのレアで価値のある強みを持て)」
  • 「各1万時間費やして習得する3つの軸(強み)を持ち1億人に一人になれ!」
  • 「頑張れば報われる」教の時代は終わった
  • 「クリティカルシンキング・プレゼン力」
  • 「聞く力・共感力」

このキーワードや概念をわかりやすく伝えるために、ご自身のリクルート時代、校長時代、そして今のフリーの経験をうまく交えながら、毎度、主張を展開しています。

 

しがない35歳サラリーマン代表(いや、私は35歳ではないですが、、、笑)としては、この教科書や藤原さんの著書全般の主張はスッと心に入ってきましたが、「そうは言ってもやはり…」なんて感想を交えながら、各論に行きます。

 

1.35歳で迷え!?

10代は集中力を磨き、20代1000本ノックで無我夢中に鍛えて、30代で五里霧中だ!と本書は指摘しています。

かの孔子も「子曰(のたま)わく、吾十有五(じゅうゆうご)にして学に志し、三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳従(したが)う、七十にして心の欲する所に従いて矩(のり)を踰(こ)えず。」とのたまわっています。まぁ、30歳になると何となく学問(今でいうと世の中や会社のこと)が分かってきてちょっと立ちあがれる、と。

要は、何となく見えてくる30歳から更に5年過ぎた35歳になると、本当にこのままでいいのか、転職したほうがいいのか、独立したほうがいいのか、この仕事は本当に自分のやりたいことだったのかと、いろいろと迷っちゃう状態になるのだと思います。

明日の昼ごはんは唐揚げ定食か、サバミソ定食か、いや、アジフライ定食かと年中迷っている中年サラリーマンには心にしみるセリフです。

 

脱線しましたが、藤原さんはこの迷うというのは、「今後どのみちで生きていくか」ちゃんと迷って考える時期が35歳だと言っています。そして、迷ってどうするか?「自分自身と向き合って見つめる」そして「会社以外に打ち込めることをみつける」ことが大切だと藤原氏は主張します。で、「その打ち込めること」と「自分の持っている技術」を掛け合わせてオリジナリティーあるキラカードになって将来稼ぎましょう!と。

要は不安定な社畜一本足打法から、趣味でも副業でもとにかく、好きなことでもう一本柱を作りどっしり二本足打法にシフトを考えることで将来、生きていける打率を高めようと!のたまわっています。孔子ばりに。

 

2.武器と仲間を持て

「武器と仲間を持て」とは、なんと革命のカリスマ、チェゲバラの一文ではなく、本書の一文です。この本でいう武器は、銃でも剣でもなくて、価値が認められる、お金がもらえるスキルのことを指しています。医者、弁護士やコンサルタントなどの一流の専門職の人(要は武器持っている人)は時給換算すると3万円から8万円程度になるそうです。そして、普通のサラリーマンの時給は1万円以下にとどまります。だから、「普通」の武器を持っていないサラリーマンにとどまらず、オリジナリティーある武器を持った人になりなさい!と藤原さんは力強く言います。(藤原さんの言うクリティカルシンキングであえて言うのであれば、お金があれば幸せなんですか、時給が高ければそれでいいんですか!と反論もできますが、まぁ、効率よくお金を稼げるに越したことは御座いません)

残念ながら世のしがないサラリーマンはあまり武器を持っていないです。新橋のサラリーマンに「あなたの武器は何ですか?」ときいたら、あえて言えば、「根性っす!」「忍耐力ですかね」「お酒が強い‼」といったたぐいの回答がおそらく10人に7人以上は返ってくると思います。うーんお金になるかなぁ?オリジナリティーあるかなー?、、、まぁ恐らく、いや間違いなく、あまりお金になりません。

偉そうなことを言いましたが、私自身も何が武器か?と聞かれると。。。うーんと唸ってしまいます。営業、マーケティング、英語、マネージャー業、コーチングなんてまだまだ竹やり位の強度の武器しか御座いません!

 

この本を読み進めていくと、「やったもん勝ち!、打ったもん勝ち!、手数出した方が勝ち!」と檄が藤原氏から飛んできます。そう言われれば、もうすべて合わせて「英語もコーチングもできるセールルマーケのマネージャー」が武器だと信じて、戦場で戦うしかなさそうです。

好きなこととか、今までやってきた竹やりの武器から戦いを始めて武器を強くするしか道はなさそうです。

 

3.自分自身をリストラする(やらないことを決める)

武器を磨くには時間と集中力が必要です。しかし、人類には1日24時間という限られた時間しか与えられていません。なので、今までの生活で惰性でやっていることをリストラする必要が出てきます。テレビ、飲み会、ゴルフやポジティブシンキングも捨ててしまえ!と本書は言っています。

サラリーマンから、酒、テレビ(プロ野球中継的な惰性)とよく分からい自信(ポジティブシンキング)を取ったら何が残るのか、と反論したくもなります。何も残らないというのが、現実です。でも、何も残らないから武器もないという事になります。。。はい。

で、余計なモノを捨てたら、「全身全霊」を打ち込めることに100(件、軒、社)を基準に1万時間は取り組め!と。プロになるには1万時間という千本ノックが必要で、そのノックを受け続けられるのは、好きなことだけだと。

 

そして、そうやって磨いた武器は、その人を組織人から「組織内個人」へと進化することが出来る。組織内個人とは、組織に属しているけれども、明確に個人としての個の強さや武器をもって、勝負している自覚をもった人です。会社の中で自営業しているぐらいの気概を持って働くことが必要と。

サラリーマンには、傷口にレモンなみにしみる部分です。自分の専門性や独立したビジネスを持てないから、「みんなと同じ」で何となくサラリーマンになった大半の人々に心のリストラ宣告をしています。そういう時代じゃなくなったのだよ、サラリーマンも組織にいながらも個人で戦わないと生きていけない時代が来ているのだと、今までため込んだ心の甘えという贅肉をリストラしなさいと、厳しい現実を突きつけています。

会社の中で、自分のやりたい事と会社の方向性を、合わせて活動することが、組織内個人として成功する秘訣で、それが「寄業人」と主張します。組織のビジョンや戦略を理解し、それにマッチして自分がやりたいことを模索することが、押すべきツボとなります。そして、自分のやりたいことが、1)わかりやすく目に見える(可視性)、2)個人としてやってみたい(共感性)、3)すぐに体を動かせる具体的なアクション(運動性)だと、よいとアドバイスしています。

仕事が与えられるモノでなく、自ら生み出し、奪い取りに行くモノだと、実感させられます。「私はこれがやりたい!」と叫んでも、残念ながら会社の利益にならなかったり、方向性と違っていれば、会議の場で「ふん」と一蹴されて終了です。上の3つの条件は秀逸です。これはこの話だけでなく、成功するプロジェクト全般に言えることだと思います。成功するプロジェクトや事業案件は、大抵この3つの条件をそろえています。

 

4.仲間をふやせ、ネットワークで生き延びろ

最後が仲間/ネットワークのお話です。親族の集まりでなく、会社の飲み会でなく、地域のコミュニティとか第三の場所で仲間を集えと言っています。そんな第三の場所では、年次とか、権力とかでは人が動かないので、相手の話をきいて何がツボかをじっくり理解して「動機付け」することや、「戦略的に」重要な人/ものに時間を投入することが大切だ。人と人とのかかわり、人自体がレバレッジとなり、効果を発揮するからこそ、仲間が今後の世の中で重要になってくると訴えて本書はおわります。

これは、もしや「スタバのサードプレスか」、と思った一文でした。(家族)なれ合いとか、(会社)利害でない、(スタバ)まっさらの関係で、自分を見つめる、鍛える、コーヒーを楽しむ場を設けましょうと。いや、スタバではないか(汗。35歳のサラリーマンがほかの人に何かやってもらうときには、大抵は「お願い・依頼」のスタイルです。お願いは、「やってくれたらうれしいな」、或いは「偉い人が依頼しているからやってね」というものです。これが通じない中で、人を動機づけるってなかなか難しい。もう、お酒奢るぐらいしか思い浮かばないのが、、、笑

 

ということで、ひとまず、35歳の教科書の解説(でなく、サラリーマン愚痴)を終えます。このブログをお読みになった方は、もう内容をご存じなので買う事を全くお勧めしませんが(笑)、どうぞ↓

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