普通の人の投資と読書@シンガポール

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普通の人の投資の王道 虎の巻11 閑話休題 失敗談

実践編①(↓)が一通り終わりましたので、少し閑話休題して失敗談についてです。 

普通の人の投資の王道 虎の巻07 実践① ポートフォリオ - 普通の人の投資と読書@シンガポール

 

さも、偉そうに「普通の人の投資の王道」なるものを語ってきましたが、10年以上の投資経験で多くの失敗をしています。逆に、数々の失敗から学び、この「普通の…王道」にたどり着きました。なので、失敗談は反面教師として「馬鹿だなー」と楽しんで読んでいただきながら、同じことをしないようにしてください。

 

失敗その1;安定経営/高配当の電力株神話崩壊

日本の電力会社の株式は昔から高配当(利回りが3%以上)でした。某東〇電力はそれはそれは非常に優秀な株でした。東京を中心とする首都圏の電力需要は安定しており、且、国が保護するインフラ事業でコストから逆算された安定した利益が確保されたビジネスです。更に、発電/配送/エンドユーザーへのサービスまで独占しているので競争がなく、脅威も少ない。この盤石な基盤があるので株価も乱高下しにくく、配当が高いので利回り目的で多くの投資家が電力株を買っていました。

 

若かりし頃の私も配当利回りは重要だ!これは電力株をポートフォリオに組み込まない手はないと、ポートフォリオに結構な比率(構成比40%近く)で電力株を入れていました。

 

結果は、皆さんよくご存じのとおり、東日本大震災をきっかけに事業環境が一気に変わりました。また、国も電力自由化に舵を切り、東〇ガスなど異業種も電力事業に参入した結果、事業環境の変化や競争についていけなかった電力会社の業績は落ち込み、株価も一気に奈落の底へ落ちていきました。

 

安定経営/高配当を疑わずに個別銘柄で一業種に、ポートフォリオを偏らせた結果の失敗でした。事業/競争環境は、思いもよらない出来事(このころ東日本大震災の津波は「想定外のリスクだった」と盛んに叫ばれていました)で一変します。こういったリスクはどんなに先を読もうとしても読み切れません。

 

コロナウイルスも同様で、ここまで拡大して世界経済に影響を及ぼすのを事前に想定するのは不可能です。もちろん、普段からアンテナ高く張ってリスクが小さな芽のうちに感じ取るなどの努力は必要ですが、もっと大切なことはなるべく投資を分散させてリスク耐性を高めておくことです。

 

失敗談その2;高利回り新興国通貨MMF

また、高利回りか!と。はい、そうです。7-11%高利回りである新興国通貨に惹かれました。「これしかない!」と。持っているだけで毎年7%以上増えるなんて間違いないと。もちろん、新興国通貨は為替が乱高下して為替リスクが高いことは理解していました。一方で、通貨はその国の魅力度を表す、日本と新興国を比べたら中長期的には日本の魅力度(経済成長率など)はさがり、飛ぶ鳥を落とす勢いの新興国の魅力は上がっていくはずだから、問題ないと。

 

結果はいかに?

はい。大間違いです。その国の通貨は魅力度を表すことは間違いないですが、「金利」と「物価」が大きく影響してきます。ほぼゼロ金利で、デフレで物価が下がり続ける日本。一方で、比較的高い金利で、物価は上がり続ける新興国。通貨の関係はどうなるか?

 

日本では10万円を現金束で10年間タンスにいれておいても価値はほとんど変わりません。一方で新興国では10万円分の通貨を現金束で10年間タンスに入れておくと、インフレで価値はドンドン下がっていきます。

 

具体例でいうと、今、大型の液晶テレビが10万円で日本と新興国どちらでも買えるとします。10年後に、日本ではデフレで物価が下がるので同じ大型の液晶テレビが9.8万円ぐらいになっています。タンスに入れた10万円を取り出してお店に行けば液晶テレビが買えて2千円のおつりが来ます。一方で、新興国ではインフレで物価が上がるので同じテレビが10年後には18万円ぐらいに値上がりしています。タンスに入れた10万円分の新興国通貨を取り出してお店にいっても、買えません。。

 

つまり、その新興国通貨の価値が相対的に日本円やモノの価値に比べて下がっているのです。したがって、今の金利や物価が続く限り対新興国通貨で円高の方向へ中長期では動くようになっています(突発で、東日本大震災等の日本リスクが高まればもちろん円安へ動きます)。なので、中長期の投資目的で新興国通貨MMFをポートフォリオに組み入れてはいけません(蛇足ですが、円高となると結局手持ちの新興国通貨の価値は目減りしますので)。

 

経済や金融をちゃんと勉強した方なら当たり前すぎて、「何を言っているのやら」とお考えと思います。でも、「新興国通貨は高利回り!」「新興国が成長する(のでそこまで通貨が減価しない)!」と一直線に行くと見事大失敗です。あと、日本という国の真価を若かりし頃は見誤っていました。

 

シンガポールへきて良くわかったのは「日本ってまだまだ捨てたもんじゃない」ってことです。今後の日本について過信する気も、日本万歳っていう気も全くないです。ただ、冷静に経済の規模、国の安定性、日本の企業を、他の新興国や先進国と比べた時に、日本には「日本の強さと安定」があります。

 

日本にいると将来の見通しについて悲観的な見方が多いですが、それは村社会に流れるある種の自己暗示です。村社会からでて、外の人から日本の評価を聞くと「規律」「安定」「技術力」「勤勉」など様々強みがあるのは事実です。それに安住すると自己暗示通り負のスパイラルへ落ちていくので日々のたゆまぬ努力は必要なのですが。。

 

閑話休題なのに、失敗談からなぜか熱が入り日本論にまで発展させてしまいました。。。次こそ、軽く「成功談」です↓ 。では。

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