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動物農場 読書感想文2

ジョージオーエルの動物農場で読書感想文の「書き方・方法論」を語る第2回目。

前回の第1回は、そもそも読書感想文はどういう書き方で書けばいいかを紹介した。
前回の結論だけおさらいすると、読書感想文は、「本を読んで得た気づきを基に自分の意見を書きましょう」、そして「この気づきには視点・切り口が大切」ということでした。

さて、第2回の今回は実践編です。

まず、視点の話から。読書の視点は多様です。動物農場を読む視点はもちろん、読者の数だけあります。が、しかし、急に視点を持って読めと言われても何のことやらとなると思います。そこで、おすすめなのが、1)特定の登場人物に焦点をあてる、2)物語の結論に焦点をあてる、3)なぜこの本が書かれたのか、作家はどうしてこの本を書いたのかの時代背景に注目する、という3つです。


今回は、1)特定の登場人物に焦点をあてるの事例を取り上げます。動物農場の例でいうと、ナポレオン・スノーボール・ボクサーあたりが焦点をあてやすい中心人物です。今回は、ナポレオンで行きましょう。ここで2000字の感想文を展開するには長すぎるので骨子だけにします。

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<読書感想文の例(骨子)>
ア)簡単な要約
動物農場は、動物の平等という理念を掲げて動物たちが人間を追い出し、革命をして運営する農場の物語です。独立した後に、頭のいい豚が他の動物たちを率いて運営しますが、徐々に権力闘争に勝ったナポレオンという豚が独裁する体制になります。最後は、革命の理想(動物は平等)をすてて、特定の動物(豚)は支配・特権階級であるという元の人間の支配と変わらない状態になります。

イ)意見の基となる視点・気づき
豚のナポレオンは独裁者であり、彼が動物農場を元の不平等の支配へ戻してしまった大きな原因の1つであるように思える。彼個人が政治的で、謀略をつかうずる賢いタイプであることは間違いない。ただ、どうやって彼が独裁の権力・不平等の支配を築いたかといえば、犬を操った暴力・恐怖による支配、他の動物を誘導・丸め込むスティーラーを使うことでその独裁体制を築いている。いい悪いは別として豚のナポレオンのような人は現実社会にもいる。ただ、現実の社会ではすべての国・組織で独裁体制になっているわけではない。ナポレオンは憎むべき存在であるが、本当に彼だけが悪いのであろうか?

ウ)意見の展開
ナポレオン個人の性質・思考が主な原因で専制支配、独裁主義につながった結論付けるのは短絡的だと考える。なぜなら、彼個人だけでなく、最終的には恐怖や丸め込みがあったにせよ、他の動物達も反対することなく、従っているからだ。ナポレオンのような独裁者の芽が現実の社会であっても、いまの国家では分権(司法、立法、行政)、メディア、選挙によってお互いにけん制・チェックすることで独裁者の誕生を阻んでいる。もちろん、過去のナチスのように国家状況次第ではそれも機能しない状況もある。ただ、ナポレオン個人の要素よりも、国家・組織の仕組みが機能しない、或いは、自分で考えて声をあげる人がいないことの方が独裁者ナポレオンを産む原因となっていると考える。今後、選挙や自分の属する組織で、動物農場の「他の動物」とならないように、自ら考えて声をあげていきたいと思う。

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という、ナポレオンに焦点をあてて、「ナポレオンが悪い」という一般論に異を唱える視点で、「ナポレオンも悪いけど、本当は他の動物も問題だよね、自分はそうならないようにしよ」という意見を展開しました。

視点のポイントは、一般論(見かけ)の逆を、或いは、本質を突くことです。「ナポレオンって悪いよね、嫌な人(豚)だ」だと感想で終わります。「ナポレオンって悪いのかな?」「本当の原因は?」「ナポレオンはなぜ独裁できたの?」という見かけと違う視点で気づきを書くと意見に展開しやすいです。


で、実は、視点で説明した、
2)物語の結論に焦点をあてる、3)なぜこの本が書かれたのか、作家はどうしてこの本を書いたのかに注目する、でも上記と同じように意見が展開できます。ナポレオンから入るのか、物語の結論から切るのか、この本の背景から見ていくのかの違いです。

ということで、今回はここまで。次回は感想文の上級編です↓

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